世界文化社 公式note

世界文化社の公式noteです。書籍や児童書、絵本のご紹介や製作裏話、noteオリジナル…

世界文化社 公式note

世界文化社の公式noteです。書籍や児童書、絵本のご紹介や製作裏話、noteオリジナル連載などを随時掲載していきます。 https://www.sekaibunka.com

マガジン

  • 話題の本

    世界文化社の新刊や話題の本など、知って得するとっておきの情報をお届けします。

  • 世界文化社ブックレビュー

    世界文化社の本を読んでくださった皆様、またご自分のnoteでご紹介くださった皆様、ありがとうございます! いろいろなご意見やご感想をいただけるのが嬉しくて、世界文化社の本に関する皆様のnote記事を、まとめてご紹介させていただくマガジンを作りました。 世界文化社の本をお読みいただいたら、#世界文化社ブックレビュー のハッシュタグをつけて、ご感想やご意見などをぜひ、お気軽にnoteにお書きください。このマガジンでもシェアさせていただきます。

  • 沢野ひとし【もう一度あの町に行こう】

    イラストレーター・沢野ひとしさんが、これまでの人生を振り返り、今、もう一度訪れたい町に思いを馳せるイラスト&エッセイです。再訪したり、妄想したり、食べたり、書いたり、恋したりしながら、ほぼ隔週水曜日に更新していきます。

  • ひびこれ家飯

    昨日はどんなものを食べましたか? 晴れの日卦の日、隣は何を食う人ぞ。このコーナーは皆さまが日々、ご自宅で食べているものを、ちょっとだけ見せていただき、現代人の食生活の実態に迫ろうという企画です。「毎日凝った料理を作る必要はないんだなあ」「そんなものまで手作りで?」「そういえば今、コレがおいしい季節だね」など、隣人の食卓を垣間見ることで、やる気とか元気とか勇気とかが出てくるかもしれません。ほぼ毎日、お昼に更新していきます。

  • コロナ時代の学校と子ども〜イタリアの校長先生からの提言

    イタリアの科学系名門高校「アレッサンドロ・ヴォルタ高校(以下、ヴォルタ高校)」のドメニコ・スキラーチェ校長先生著『「これから」の時代(とき)を生きる君たちへ』は、5月の発売以降、大きな反響をいただきました。その後、新型コロナの影響による休校を乗り越えて、いかにして安全に、スムーズに学校を再開させたのか――スキラーチェ校長先生が、リアルな情報や子どもたちへの思いを綴る連載です。

ウィジェット

  • 商品画像

    沢野ひとし 食べたり、書いたり、恋したり。

    沢野 ひとし

記事一覧

クレームは思いやりをもって/新井由木子

草加の、とあるおしゃれカフェの中の小さな書店「ペレカスブック」店主であり、イラストレーターでもある新井由木子さんが、関わるヒトや出来事と奮闘する日々を綴る連載で…

哀愁の温泉宿と椎名誠/沢野ひとし

 コートのエリを立てる季節が訪れると、不意に温泉が恋しくなる。出版界が元気だった二十年前は、箱根湯本の温泉宿で対談や新刊の打ち上げなどと、多い時は年に四、五回は…

秋の夜長はウクレレと紅茶/沢野ひとし

 ウクレレは手軽に演奏できる楽器である。ポルトガルの民族楽器が、ハワイアン音楽に溶け込み定着した。小型でどこにでも気軽に持って行け、みんなと合奏もできる。  …

100

焼きうどんの衝撃/沢野ひとし

 うどんは熱い汁の中で一生うたた寝をしている食べ物である。キツネうどん、タヌキうどん、月見うどん、テンプラうどんと、だし汁の中で至福の人生を過ごしている。  し…

100

優雅な避暑地/沢野ひとし

 今年の夏の猛暑は人間の思考を停止させ、若者から高齢者まで体調を整えるのが至難の業であった。私はとあるリゾート地にのんびりと避難していた。  高原に別荘を持って…

娘の黒糖、母の花林糖/沢野ひとし

 二十数年前、娘は奄美諸島の徳之島に一年ほど滞在をしていたことがある。村の食堂で働き、気ままな一人暮らしであった。村の片隅のサトウキビ畑に囲まれた小さな小屋で寝…

100
クレームは思いやりをもって/新井由木子

クレームは思いやりをもって/新井由木子

草加の、とあるおしゃれカフェの中の小さな書店「ペレカスブック」店主であり、イラストレーターでもある新井由木子さんが、関わるヒトや出来事と奮闘する日々を綴る連載です。毎週木曜日にお届けしています。

 毎日カフェ・コンバーションの美味しいまかないを食べているわたしたちですが、たまにはジャンクフードを食べたくなることがあるものです。
「持ち帰りにするとポテトを忘れられるっていうことが、我が家では何回か

もっとみる
哀愁の温泉宿と椎名誠/沢野ひとし

哀愁の温泉宿と椎名誠/沢野ひとし

 コートのエリを立てる季節が訪れると、不意に温泉が恋しくなる。出版界が元気だった二十年前は、箱根湯本の温泉宿で対談や新刊の打ち上げなどと、多い時は年に四、五回は温泉卵を口にしていた。
 滞在した老舗旅館は明治初期から文人墨客が投宿しており、玄関ロビーには、文豪や画伯の名がさりげなく示されていた。
 湯殿は地階にあり、白っぽい湯がとうとうと掛け流しされている。湯に体を沈めると、ゆったりと風情ある温泉

もっとみる
秋の夜長はウクレレと紅茶/沢野ひとし

秋の夜長はウクレレと紅茶/沢野ひとし



 ウクレレは手軽に演奏できる楽器である。ポルトガルの民族楽器が、ハワイアン音楽に溶け込み定着した。小型でどこにでも気軽に持って行け、みんなと合奏もできる。
 秋の夜に「赤とんぼ」を一人演奏して、しみじみと日本の抒情にひたるのも良い。さらに仲間のギターと「アロハオエ」を合わせるのも和む。

 その後に飲むアッサムティー、アールグレイなどの紅茶がひときわ体に染み込み、ウクレレ療法で身体の疲れもいっ

もっとみる
焼きうどんの衝撃/沢野ひとし

焼きうどんの衝撃/沢野ひとし

 うどんは熱い汁の中で一生うたた寝をしている食べ物である。キツネうどん、タヌキうどん、月見うどん、テンプラうどんと、だし汁の中で至福の人生を過ごしている。
 しかし油断をしていたのか悠然と構えているうちに、気が付くといつの間にか、うどんは焼かれていた。

 私の焼きうどんとの衝撃的な出合いは十九歳の秋であった。中野のブロードウェイの近くに、昭和の匂いの食堂があった。カレーライスからカツ丼、焼きソバ

もっとみる
優雅な避暑地/沢野ひとし

優雅な避暑地/沢野ひとし

 今年の夏の猛暑は人間の思考を停止させ、若者から高齢者まで体調を整えるのが至難の業であった。私はとあるリゾート地にのんびりと避難していた。
 高原に別荘を持っている知人は現地で極楽トンボを味わっているかと思えば、この夏の破壊的な暑さに、皆初めての地獄を経験した。八ヶ岳の別荘地の売り文句といえば「クーラーは無用」。だが標高1000メートルに満たないような場所は、東京と似たり寄ったりの暑さであった。別

もっとみる
娘の黒糖、母の花林糖/沢野ひとし

娘の黒糖、母の花林糖/沢野ひとし

 二十数年前、娘は奄美諸島の徳之島に一年ほど滞在をしていたことがある。村の食堂で働き、気ままな一人暮らしであった。村の片隅のサトウキビ畑に囲まれた小さな小屋で寝泊りをしていた。
 我が家には黒いラブラドール・レトリーバーがいたが、娘は「会いたい」とよく電話をしてきた。そこで妻と犬と“三人”で夏休みに飛行機に乗って徳之島を訪れた。
 空港の出口で娘は手を振って立っていたが、犬はよほど嬉しいのかリード

もっとみる