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中澤日菜子【んまんま日記】

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この連載では、母、妻、元編集者、劇作家という顔を持つ、新進気鋭の小説家・中澤日菜子さんが、「んまんま」な日常を綴ります。
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#食

二郎愛/中澤日菜子

 二郎というお店をご存じだろうか。「二郎ラーメンはもはやラーメンではない。二郎という食べ…

ああ納豆/中澤日菜子

 納豆はじつに奥の深い食べものである。  ふだんはネギや卵を入れて混ぜてご飯にかけるか、…

HOT! /中澤日菜子

 わたしが高校生のころ、第一次激辛ブーム(おそらく)がやってきた。  部活の帰り、よく立…

ウチ飯/中澤日菜子

 この回がアップされるころには終息の兆しが見えていてほしい新型コロナウイルス。食べること…

読めない/中澤日菜子

 一昨年の夏くらいからちょこちょこと辛いできごとがあった。 「ちょっとついてないな」とい…

わかるんです/中澤日菜子

 よく「お寿司屋さんの腕前は玉子焼きを食べればわかる」という。もしくは「コハダやアナゴに…

ハイカラ野菜が通る/中澤日菜子

 わたしが子どものころ、野菜の世界はシンプルだった。  トマトならトマト、キャベツならキャベツ。ブロッコリーはブロッコリーしかなかったし、菜っ葉といえば小松菜かほうれん草といったぐあい。  だが最近(でもないか。ここ二十年くらい?)、野菜界にはぞくぞくと新顔があらわれている。スーパーの野菜売り場に行ってもそう思うし、レストランや居酒屋でも初めて見る野菜を食す機会が増えた。  先日、友人と八王子で飲んだときのこと。メニューに「八王子野菜のサラダ」なるものを見つけた。八王子野菜

失恋/中澤日菜子

 その日はマネージャーと車で山梨県は道志村の取材に行く予定であった。中央自動車道の国立府…

イスラム横丁/中澤日菜子

「イスラム横丁」という場所をご存じだろうか。  東京の新大久保駅前から数十メートルにわた…

都市伝説/中澤日菜子

この連載では、母、妻、元編集者、劇作家の顔を持つ小説家であり、記憶力も素晴らしくいい中澤…

わが家の流儀/中澤日菜子

 どんなに長く付き合っていたとしても、結婚して初めてわかる相手の癖というか、育ってきた家…

食べこぼし/中澤日菜子

 大好きなくせに、わたしは食べるのがものすごく下手だ。具体的にどう下手かというと、異様に…

レトロ喫茶店/中澤日菜子

 告白しようと思う。  じつはわたしは喫煙者である。  ああっもうこの二行を書いただけで、…

男の友情/中澤日菜子

 敬愛していたお店があった。大好きなお店があった。 「あった」と過去形なのは、惜しくも二〇一八年二月に閉店してしまったからである。  そのお店の名は「ロビン」もしくは「勝栄軒」。なぜ店名がふたつあるのか? それはこのエッセイを読んでいただけたらわかると思う。  お店があったのは京王相模原線永山駅の駅ビルで、わたしが大学生のときにはすでに開業していたから、たぶん三十年以上、営業していたのだと思う。  駅ビルの4階、レストラン街の一角にそのお店はあった。  もともとは中華料理の