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中澤日菜子【んまんま日記】

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この連載では、母、妻、元編集者、劇作家という顔を持つ、新進気鋭の小説家・中澤日菜子さんが、「んまんま」な日常を綴ります。
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#グルメ

ハイカラ野菜が通る/中澤日菜子

 わたしが子どものころ、野菜の世界はシンプルだった。  トマトならトマト、キャベツならキ…

失恋/中澤日菜子

 その日はマネージャーと車で山梨県は道志村の取材に行く予定であった。中央自動車道の国立府…

男の友情/中澤日菜子

 敬愛していたお店があった。大好きなお店があった。 「あった」と過去形なのは、惜しくも二…

におい/中澤日菜子

 食べものとにおいは切っても切れない関係にあると思う。  たとえば鰻。  暑い夏の夕暮れ、…

中澤日菜子【んまんま日記】#20 放題

 世のなかには実にさまざまな「放題」が存在する。  いちばんよく目にするのは「食べ放題」…

中澤日菜子【んまんま日記】#19 オムライス最高!

 今回のテーマはオムライスである。  黄色いオムレツに包まれた、鮮やかな赤いご飯。そのう…

中澤日菜子【んまんま日記】#18 韓国編 最終回

 ソウル四日目、最終日。今日も朝から快晴だ。  泊っていた韓屋(ハノク)を出て、オンニの自宅で朝ご飯。オンニが炊いてくれた松の実粥に数種類の漬物、そしてお茶。とろとろに溶けた白米は濃厚なポタージュみたいで寝起きの胃に優しい朝ご飯。あっさりしているけれども、出汁がしっかり利いていてこの一椀でじゅうぶんなご馳走だ。  お粥をいただいたのち、オンニの案内で近くの通仁市場(トンインシジャン)を観光にゆく。  通仁市場はふだんからオンニが利用しているという庶民的な市場。アーケードで覆

中澤日菜子【んまんま日記】#17 韓国編 その3

 ソウル三日目、今日も快晴。  今朝は日本でも人気の高いソルロンタンから始まりはじまり~…

中澤日菜子【んまんま日記】#16 韓国編 その2

 ソウル二日目、快晴。  ホテルは素泊まりなので、Rちゃんと朝粥を食べに街へ出る。入った…

中澤日菜子【んまんま日記】#15 韓国編 その1

 二〇一九年五月中旬、わたしは古くからの友だちRちゃんと三泊四日の女ふたり旅に出た。目指…

中澤日菜子【んまんま日記】#12 帯に短し

 先月の二十日だからちょうど一か月ほど前になる。高校時代から通っていた大好きなラーメン屋…

中澤日菜子【んまんま日記】#10 怪しいふたり

 食べることが大好きだ。  このようなエッセイを書いていることからして、読者の皆さんはす…

中澤日菜子【んまんま日記】#8 困ったやつら

 困ったやつらとは、扱いづらい野菜のことである。  筆頭格は、里芋、長芋といった「ぬるぬ…

中澤日菜子【んまんま日記】#7 美味いものセンサー

 この冬は講演会に呼ばれることが多かった。  十一月の小豆島につづき、一月には東温市のPTA連合会にお招きいただき、生まれて初めて愛媛の地を踏んだ。  松山空港に到着してまず驚いたのが、到着ロビーに設置された「みかんジュースの出る蛇口」。  てっきり都市伝説のたぐいかと思い込んでいたので、蛇口を捻(ひね)ると出てくるホンモノに感動してしまった。これは美味しいものにたくさん出会えそうだ……と、仕事を忘れてほくそ笑むわたし。  講演は東温市の中央公民館で。  到着し、軽い打ち合