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新井由木子【思いつき書店】

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「思いついたことはやってみる」と言うのは、とあるおしゃれカフェの中の小さな書店「ペレカスブック」店主であり、イラストレーターでもある新井由木子さんです。世界文化社deliciou… もっと読む
運営しているクリエイター

#連載

なすすべはない/新井由木子

 島暮しの長閑(のどか)な夕刻に、その不思議な電話は連日かかってきたのでした。  今から…

わたしがジャック・ニコルソンになった夜/新井由木子

 わたしの営む書店ペレカスブックは、分厚いほっとけーきが人気のカフェ・コンバーションの中…

地獄底/新井由木子

 さんざん時間とマネーを費やして、最終的に地獄の底が開いたお話です。  あれは3年ほど前…

クレームは思いやりをもって/新井由木子

草加の、とあるおしゃれカフェの中の小さな書店「ペレカスブック」店主であり、イラストレータ…

インフルエンザはつらいよ/新井由木子

 その朝起きると、絵に描いたような風邪っぴき(重症)になってしまっていました。 「新井さ…

叔父の葬儀/新井由木子

 叔父の葬儀に参列するため、伊豆諸島の新島に行ってまいりました。  長い間、病と闘ってい…

草加の小さな神社の小さなお祭り/新井由木子

 その小路は父の生まれた草加にありながら、不思議と母方の祖父母の住んでいた伊豆諸島の新島を思わせる、懐かしさがありました。  少し湾曲した道の両側に並ぶ、古びた民家とくすんだコンクリートの塀。そこから見える空にビルディングなど都会の建物の気配がどこにもないところ。そして、その小路の脇にある古びた神社の、草ぼうぼうで地面がでこぼこで、これもいかにも新島にありそうな場所に、幼い娘と散歩がてら立ち寄るのが楽しみだったものでした。  娘は小さな祠(ほこら)の前で 「あそばせてください

太ってますよ/新井由木子

 先日、カオリさんという定期的にペレカスブックに絵本を選びにいらっしゃる素敵な方が来店さ…

眠気に勝つ/新井由木子

 あれはわたしが高校生の頃のこと。ある授業中にわたしを襲った眠気は、どうにも抵抗できない…

大人の言うことを聞いたほうがいいか聞かないほうがいいか/新井由木子

 昔、祖母がお菓子の缶を見せて 「これには絶対触ってはいけないよ」  と言って、それをその…

忘れ物/新井由木子

 先日、母が上京してきた時のことです。  食事の後、母が取り出したプラスチックの小瓶に入…

鬼とケルベロスと般若/新井由木子

 ある人がわたしに対してたいへん怒っていると聞いて、わたしはお詫びに出かけていきました。…

恋の交差点/新井由木子

 ある朝、ひとりsoso cafe(思いつき書店vol.010参照)でおむすびを作っていた時のこと。戸外…

昔、オシャレだった/新井由木子

 昔、今の半分ほどの年齢だった頃のこと。  渋谷を歩いていると、雑誌のカメラマンだという人に声をかけられ、1枚の写真を撮影されました。そのことを忘れてしばらく経つと、親戚のおばさんから「あんたはこんな格好をして街を歩いてるのか」とお叱りの電話がありました。そこではじめて、某ファッション誌の街角オシャレさんスナップに、自分の姿が掲載されたことを知ったのです。  今その話をすると、皆さんとても驚いた顔をしますが、その気持ちはよくわかります。今のわたしに一番縁遠い言葉、それが『オ