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沢野ひとし【食べたり、書いたり、恋したり。】

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イラストレーター・沢野ひとしさんが“食”にまつわる思い出や発見を、文章とイラストで徒然に綴る連載です。この連載『食べたり、書いたり、恋したり。』をまとめた電子書籍版が、Amazo… もっと読む
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#イラスト

真夏の大掃除/沢野ひとし

 我が家の大掃除は、お盆の頃に実行している。小掃除は年末に。八月の暑い日の大掃除には力…

哀愁の温泉宿と椎名誠/沢野ひとし

 コートのエリを立てる季節が訪れると、不意に温泉が恋しくなる。出版界が元気だった二十年前…

秋の夜長はウクレレと紅茶/沢野ひとし

 ウクレレは手軽に演奏できる楽器である。ポルトガルの民族楽器が、ハワイアン音楽に溶け込…

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焼きうどんの衝撃/沢野ひとし

 うどんは熱い汁の中で一生うたた寝をしている食べ物である。キツネうどん、タヌキうどん、月…

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優雅な避暑地/沢野ひとし

 今年の夏の猛暑は人間の思考を停止させ、若者から高齢者まで体調を整えるのが至難の業であっ…

娘の黒糖、母の花林糖/沢野ひとし

 二十数年前、娘は奄美諸島の徳之島に一年ほど滞在をしていたことがある。村の食堂で働き、気…

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夏は野菜で元気に/沢野ひとし

 今年の夏は災害に猛暑と、日本中が翻弄された。あまりの暑さに外出しても何度か倒れそうになった。さらに、ここしばらく断酒が成功していたのに、頭も体もとろけ、夕食の時はいつもビールやハイボールに手を伸ばしていた。  だがこの夏を乗り切れたのは野菜のおかげである。中国で食べた定番の家庭料理を毎日のごとく作った。 「地三鮮」 ジャガイモ、茄子、ピーマンの炒めもの。いたって簡単料理。炒める前に軽く素揚げするのがコツで、そうすれば煮崩れない。葱に生姜のみじん切り、鶏ガラスープの素、水溶

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スイカと迎え馬/沢野ひとし

 通っていた千葉市内の高校は麦畑の広がる丘の上にあった。満員の通学バスは、田舎で育ったカ…

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八丈島の青トウガラシ/沢野ひとし

 何度も呆れるほど通った島は八丈島である。道端にハイビスカスやストレチアの花が咲く南国…

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沢野ひとし【食べたり、書いたり、恋したり。】第11回 押し寿司の季節がやって来た…

 我が人生はずっと押されっぱなしの日々であった。積極的に自分から押すのは、二ヶ月に一度の…

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幸せの弁当人生/沢野ひとし

 高校時代から弁当は自分で作っていた。塩ジャケ、タマゴ焼き、タラコが黄金の三点セットで、…

沢野ひとし【食べたり、書いたり、恋したり。】第9回 餃子を訪ねて三千里

「母親の餃子が一番」。  そう断言する中国人の友人に出会った。ならばそれを食べてみたい。 …

沢野ひとし【食べたり、書いたり、恋したり。】第8回 哀愁のいなり寿司と椎名誠

 あれはもうすでに半世紀も前の、遠くて近い過去になってしまった。千葉の稲毛駅で椎名誠と待…

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沢野ひとし【食べたり、書いたり、恋したり。】第7回 納豆に恋して

 小学校三年生の時の運動会が忘れられない。50メートル競走の賞品に納豆がでた。一等はノートに鉛筆、二等はワラで包まれた納豆が一つ。三等はリンゴが一つであった。  そのとき私は二等で納豆であった。それまで経木の納豆しか知らなかったので、その濃厚な匂いがするワラ納豆に興奮した。先生からは「賞品はかならず家の者に見せること」と言われていた。

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