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スギアカツキ【たまごのはなし】第1回 「たまごがおいしい」って、どういうこと? おいしいゆでたまごを作る3つの作戦

おいしくて、楽しくて、ワクワクすることを考えるのは幸せな時間ですよね。食文化研究家のスギアカツキさんとのそんな話から始まったのが、この連載です。「たまごが一番大好きな食材」というスギさんが、食文化研究家ならではのさまざまなアプローチで「たまご」を掘り下げます。どうぞワクワクしながらお楽しみください。

食文化研究家のスギアカツキです。

みなさん、一番大好きな食べ物ってなんですか? 考えるだけで楽しくなりますが、私は、「たまご」という食材に行きつきます。世界中どこでも食べることができ、その国・エリア独特の料理法で調理され、広く愛されている。そしてなにより、たまごのことを考えるだけで、ワクワクうれしい気分になってしまうんです。

そこで、連載名を「たまごのはなし」と題し、たまごにまつわる“おいしい・たのしい・うれしい”エピソードを綴っていきたいなと思います。

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「たまごがおいしい」って、一体どういうことなんでしょうか? 新鮮であること? 黄身の味・色が濃いこと? 洋菓子にしたときに風味が良いこと? ……本当にいろいろな答えがあると思います。たまごの魅力に楽しく迫るべく、第1回目は「ゆでたまごのおいしさ」について考えてみることにしましょう。

ゆでたまごがおいしいというのは、どういうこと?

喫茶店のモーニングでもおなじみの「ゆでたまご」が、“朝食の定番”になっているご家庭も多いのではないでしょうか。しかし、いざおいしいゆでたまごを作ろうとしても、意外とうまくいかないことも。シンプルな料理ほどコツが必要なのは、間違いありません。そもそも私が考える「ゆでたまごのおいしさ」とは、次の3つ。

1.つるんと殻がむけること(殻がくっついてきれいにむけない問題)
2.ぷるんとした白身であること(黄身も一緒にパサパサしがち問題)
3.黄身の状態が自分好みであること(半熟、固ゆでなどがコントロールできない問題)

今回は、この3つの条件をクリアできるよう、「おいしいゆでたまごの作り方・簡単なコツ」をご紹介したいと思います。

おいしいゆでたまごを作る3つの作戦とは?

【作戦1:穴あけ器を使う】
まずはじめに、殻がつるんとむけるよう、殻に“下処理”を施しましょう。こちらの黄色い器具、ご存知でしょうか?

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これは、殻に小さな穴を開けるための「穴あけ器」。たまごを乗せて、ぐっと押せば、細く尖った小さな針によって、殻に穴が開く仕組みになっています。

実は、殻のむきにくさの主要因は、たまご内部にある「炭酸ガス」。新鮮なたまごほどガスが多く含まれており、ゆでることでガスが膨張し、白身が殻内の薄皮に張り付いてしまうことで引き起こされることがわかっています。

また、この炭酸ガスは白身のボソボソ感の原因にもなります。ゆでる前に穴を開けることで、炭酸ガスを外に逃がすことができるのです。炭酸ガスをしっかり逃すため、上下ともに穴を開けるようにしましょう。穴あけ器は、100円ショップ等で購入することができます。

【作戦2:フライパンを使う】
ぷるんとした白身に仕上げるためには、たっぷりのお湯でグラグラゆでるのではなく、フライパンで「蒸しゆで」にすることがポイントとなります。

たまごの凝固温度は、白身:75~78℃、黄身:65~70℃。意外にも低い温度で固まってしまうため、大量のお湯の中での加熱し過ぎは厳禁です。また全体的にむらなく加熱するためには、たまごを常温に戻した状態からはじめるのが理想的です。

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【作戦3:加熱は3分、あとは蒸らして仕上げる】
穴あけ器でガス抜きしたたまごをフライパンに入れ、1cmぐらい浸るまで水を注ぎましょう。フタをして火にかけ、沸騰したらそのまま3分加熱、その後火を止めて5分放置してください。たまごを取り出して冷水の中で冷まし、食べる直前に殻をむけばOKです。

加熱時間は3分固定ですが、黄身の半熟具合は放置時間(蒸らし時間)で調整しましょう。とろ~り半熟が好みな人は、4分から4分半、固ゆで派は、7分を目安に蒸らしてみてください。

ぷるるんっ、自分好みのゆでたまごが完成です! さあ、気になる方はぜひお試しを!

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文・写真:スギアカツキ/食文化研究家。長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを幅広く学ぶ。現在、世界中の食文化を研究しながら、各メディアで活躍している。『やせるパスタ31皿』(日本実業出版社)、女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)が好評発売中。
「みなさん、一番大好きな食べ物ってなんですか? 考えるだけで楽しくなりますが、私は『たまご』という食材に行きつきます。世界中どこでも食べることができ、その国・エリア独特の料理法で調理され、広く愛されている。そしてなにより、たまごのことを考えるだけで、ワクワクうれしい気分になってしまうんです。そこで、連載名を『たまごのはなし』と題し、たまごにまつわる“おいしい・たのしい・うれしい”エピソードを綴っていきたいなと思います」
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