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コロナ太り/中澤日菜子

 新型コロナ肺炎。この原稿を書いている六月中旬でも、東京では感染者の数が二十名から多いときは四十名以上に及ぶなど、まだまだ予断を許さない状況がつづいている。
 思えば今年の初め、こんなことになるなんて予想もしなかった。それはきっとわたしだけではあるまい。みなさんも「まさかこんな年になるとは」と嘆いていらっしゃることと思う。

 現在は非常事態宣言も解除され、ある程度外出できるようにはなったが、それでもまだまだ自宅にこもって過ごすことが多い。くわえて娘たちの高校も大学もいわゆるリモート授業になり、さらには夫まで在宅勤務となり、狭い我が家に大の大人が四人もひしめき合うという、非常に仕事しづらい状況になってしまった。
 まあ仕事はまだいい。さいわい仕事場を自宅近くに借りているので、みなが家にいるときは仕事場に逃げ込むことにしている。

 困ったのが「コロナ太り」してしまったことである。
 みなさんは大丈夫ですか? コロナ太り。
 わたしはダメです……すっかり肥えてしまいました……
 とくに昼食。ふだんひとりで家にいるときは、あるもので適当に済ませていたものが、夫に合わせてきっちりスパゲティだの買ってきたお弁当だのを食しているうちに、みるみる体重が増加してしまった。
 とくにいけなかったのが大型連休。今年はどこにも行けないと判明してから、我が家では「発想を転換して二度めのお正月が来たことにしよう」と言い合い、美味しそうなものを買ってきて、食っちゃ寝の数日間を過ごしてしまったのである。

 そんな自堕落な生活を終えた連休後、体重計にのったわたしは思わずのけぞった。二月から四キロも増え、生涯最大体重に迫る数値が表示されていたのである。ただでさえ「空気を吸っても太る」といわれる更年期、大型連休のごろ寝・大食はあまりにまずかった。と、反省してもあとの祭り。わたしはこころに誓った。
「なんとしても二月のレベルまで体重を落とす」と。

 それから一か月半、我ながら涙ぐましい努力をつづけている。
 スパゲティは太るので、ホットサンドメーカーを購入し、野菜たっぷりのサンドイッチを作っては、やはり激太りした夫とひとつのサンドイッチを半分こして食べている。
 炭水化物は肥満のおおもとと心得て、大好きな白飯を極限まで減らし、かわりに冷ややっこや茹でた枝豆を主食にすることにした。
 買いものはマスクをつけて、なるべく車を使わずに歩く。週二回、運動のために卓球をしにいく。間食はすべて止め、甘いものは果物でとる。とはいえ果物もそれなりに糖分があるので、それすらも極力減らしている。

 このような努力の甲斐あってか、一時期は家族に「お母さん、お腹に浮き輪つけてるみたい」とまで揶揄されたわが腹が、少しずつもとの体型に戻ってきた。とはいえもともとぽっちゃり型なので、スリムになれたとまではとてもいかない。
 それでも二キロ痩せたんですよ、二キロ! 
 なんとかこの生活を維持して、あわよくば二月よりもさらに痩せたいと今日もダイエットに励むわたしである。

 でもね……わかってるんですよ……いちばんいけないのはお酒だってことはね……
 だけど止められない。大好きなお酒だけは止められない。
「コロナと仕事でストレスかかりまくってるんだから、これくらいは許してあげないとね」と、じぶんに言い訳をしつつ、今夜もいそいそと晩酌に励んでしまうであろう。

【今日のんまんま】
「世界でいちばん美味しい」と信じている、八王子にある車家さんの鴨せいろ蕎麦。あっさりめのおつゆに、脂のぽってりのった鴨。細く刻んだネギがよく合う。んまっ。

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車家

この連載では、母、妻、元編集者、劇作の顔を持つ小説家であり、ちょっとぽっちゃりなところも可愛らしい中澤日菜子さんが、「んまんま」な日常を綴ります。ほぼ隔週水曜日にお届けしています。

文・イラスト・写真:中澤日菜子(なかざわ ひなこ)/1969年、東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒。日本劇作家協会会員。1988年に不等辺さんかく劇団を旗揚げ。劇作家として活動する。2013年に『お父さんと伊藤さん』で「第八回小説現代長編新人賞」を受賞。小説家としても活動を始める。おもな著書に『お父さんと伊藤さん』『おまめごとの島』『星球』(講談社)、『PTAグランパ!』(角川書店)、『ニュータウンクロニクル』(光文社)、『Team383』(新潮社)、『アイランド・ホッパー 2泊3日旅ごはん島じかん』(集英社文庫)、『お願いおむらいす』(小学館)がある。小学館P+D MAGAZINEにてお仕事小説『ブラックどんまい! わたし仕事に本気です』連載中。
Twitter:@xrbeoLU2VVt2wWE


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