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スギアカツキ【たまごのはなし】第23回 3歳の息子のリクエストから生まれたオリジナル「菜の花ごはん」

ある日のこと。突然、息子から「ママ、“菜の花ごはん”が食べたいよ。作って」と言われました。どうやら保育園の給食で出てきたメニューのようで、「どんなものだった?」と詳しく聞こうとしたところ、「おしえなーい! ママが考えて作ってみてよ! たくさん見てるでしょ!」と、3歳児から厳しい指導が入ってしまいました。

そういえば、毎日の送迎ルートに「菜の花畑」があることを思い出しました。私たち親子は、菜の花を一緒に見ながら、「大きくなったね」とか「なんで花びらがちっちゃいの?」という他愛ない会話をすることで、感性の交歓をし合うような、そんな間柄。二人の中だけで大切に育んでいる「菜の花」という時間・空間こそが、息子のリクエストだったのです。つまり、「ママ、いつも二人で見ているあの“菜の花”を、ごはんで表現してよ」ということなのだと解釈した私は、さっそく「私達らしい菜の花ごはん」を作ることにしました。

息子は菜の花のような苦みのある野菜も、少しずつ食べられるようになってきたので、食材としての「菜の花」は迷うことなく採用。さっと塩茹でをして、ざくざく刻んでいきましょう。

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お花部分はもちろん、大好きな「たまご」で表現することに。スクランブルエッグを、ふんわりやわらかめに焼き上げましょう。

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ここでひとつ、息子からアドバイスが入りました。「全部黄色じゃなくて、白い部分って、あるかもよ?」そうか! それなら、黄色だけじゃなくて白い“白身のそぼろ”も作ろうじゃないか。黄=ちょっと甘めの味付け、白=塩味にして、味のバリエーションをつけることに。食感も、ポロポロ、プルプルと微妙に違うものができあがりました。

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さあ、あとは仕上げです。炊き上がったごはんをボウルに取り分け、刻んだ菜の花と、ちょっぴりめんつゆを垂らして混ぜ合わせましょう。

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今回はシンプルにまとめたものの、ゴマを入れて“畑っぽさ”を表現したり、グリーンピースは“蕾”みたいだから入れてもいいなとか、いろんなアイデアが沸き上がってきました。料理が楽しくなると、発想力も花開くのかもしれません。

混ぜたごはんを、お好みの器に盛り付け、たまごの花を散らす工程は、自分がアーティストになった気分。器の色や形によっても、印象が大きく変わります。

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さあ、これで良し。大皿バージョンと茶碗バージョンの2種を作ってみました。

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完成後、息子は満足げな笑顔を見せてくれて、一安心。生姜焼きと一緒に、春のごはんをゆっくり堪能することができました。

もっと自由に、もっと自分らしく。食のリクエストは、料理の創造力を鍛えてくれると共に、人の心をつないでくれるきっかけにもなりそうです。


文・写真:スギアカツキ/食文化研究家。長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを幅広く学ぶ。現在、世界中の食文化を研究しながら、各メディアで活躍している。『やせるパスタ31皿』(日本実業出版社)、女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)が好評発売中。
「みなさん、一番大好きな食べ物ってなんですか? 考えるだけで楽しくなりますが、私は『たまご』という食材に行きつきます。世界中どこでも食べることができ、その国・エリア独特の料理法で調理され、広く愛されている。そしてなにより、たまごのことを考えるだけで、ワクワクうれしい気分になってしまうんです。そこで、連載名を『たまごのはなし』と題し、たまごにまつわる“おいしい・たのしい・うれしい”エピソードを綴っていきたいなと思います」
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スギアカツキ【たまごのはなし】
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  • 46本

「たまごが一番大好きな食材」という食文化研究家のスギアカツキさんが、その経験と好奇心を生かしたさまざまなアプローチで「たまご」を掘り下げる連載です。

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