note_30_デンジャー_エッグのコピー

スギアカツキ【たまごのはなし】第30回 大人の感性をも刺激する新進気鋭のアニメ『デンジャー&エッグ』が面白い

今日は、私が最近、衝撃的に心をえぐられた「アニメ」のお話です。そのアニメとは、Amazonが提供しているAmazon Prime Video限定で配信されている『デンジャー&エッグ ~なかよし2人のおかしな大冒険』というキッズ向けコンテンツ。

怖いもの知らずの少女DD・デンジャーと、用心深い巨大卵フィリップは仲の良い親友。2人の好奇心が赴くままに、ドキドキすること、危険なこと、苦手なことにチャレンジする全13話のストーリーです。

DDとフィリップ

何が面白いのかというと、これまでにないテンポと世界観。集中して見ていないと、どんどん話が進行し、しっかりつかまっていないと振り落とされてしまうようなジェットコースター感があること。そして会話のキャッチボールが、自分の常識を覆すような“ハチャメチャ感”にあふれていること。何度か見返さないと理性的に理解できないような超感覚的世界であること。

すごい。なんだ、これは……。

最初に見た時は、衝撃的でした。

フィリップ1

このアニメに出合ったきっかけは、卵好きな息子の「“たまご”のアニメだ! これ見よう!」という発言からでした。その息子が感覚的に熱狂している傍らで、知らず知らずのうちに理論的な思考で生きてきた私は、自分の感性の稚拙さに失望さえ抱いたほどの衝撃でした。

じっくり見れば見るほど、このアニメの世界観の素晴らしさに気づかされます。何より、素晴らしいのは、常人ではなかなか理解しがたい会話のやりとりの中に、“大切なメッセージ”が現れること。私が実際に感激したフレーズを並べてみましょう。

・(DDとフィリップが親友であることに対して)独りぼっち同士だからこんなに仲良くなれると考えることができるよね!
・「心の家族」とは、あなたを家族みたいに大切にして、あなたを支えてくれる、時として本当の家族以上の存在だ。
・誰にでも、心の家族を手に入れる権利がある。
・どんな時だって、そばにいて助け合おう。
・大人かどうかの違いは、誰かの面倒を見られるかどうかということ。
・(未来を見る体験をして)未来を見たからって、コントロールされないぞ! 自分のなりたいものになる!
・常識なんて知ったものか! 僕たちが宇宙の歯車だなんて認めない!
・(風に対して)透明のわんぱくよ!

このようなフレーズに触れて、しみじみ思うことが……。主人公2人の性格、なんだか身に覚えがあるのです。DDの超越した好奇心といたずら心に、フィリップの気弱さとやさしさに。一見対極に見えますが、双方が同じ世界で仲良く寄り添うことができる。そして、私の中にも、この2つの対局要素が確実にあるということが、なんとも痛快で心地よかったのです。


好奇心、勇気、遊び心、行動力。

画像3

やさしさ、寂しがり屋、気弱さ、度胸。

フィリップ2

もしかすると、私が子どもに教えたい唯一のことは、さまざまな世界観の肯定なのかもしれません。ここまで潔くストレートなメッセージが、キッズアニメに登場すること。これを可能にしているのは、超人的なクリエイティビティにつきるでしょう。本アニメのプロデューサーがトランスジェンダーであることでも話題になったようですが、それが特別なことだとは全く思えません。素晴らしい作品は、素晴らしいのです。

DDの過激な可愛さと、フィリップの宇宙レベルのやさしさに敬意を払いつつ、私の中でこの作品を大切に温めていこうと思う、今日この頃です。

DDとフィリップ2

●Amazon Original『デンジャー&エッグ ~なかよし2人のおかしな大冒険~』
Amazon Prime Videoで独占配信中。
https://www.amazon.co.jp/dp/B017AQG6KO/


文・写真:スギアカツキ/食文化研究家。長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを幅広く学ぶ。現在、世界中の食文化を研究しながら、各メディアで活躍している。『やせるパスタ31皿』(日本実業出版社)、女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)が好評発売中。
「みなさん、一番大好きな食べ物ってなんですか? 考えるだけで楽しくなりますが、私は『たまご』という食材に行きつきます。世界中どこでも食べることができ、その国・エリア独特の料理法で調理され、広く愛されている。そしてなにより、たまごのことを考えるだけで、ワクワクうれしい気分になってしまうんです。そこで、連載名を『たまごのはなし』と題し、たまごにまつわる“おいしい・たのしい・うれしい”エピソードを綴っていきたいなと思います」
Instagram:@sugiakatsuki
Twitter:@sugiakatsuki12


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