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スギアカツキ【たまごのはなし】第13回 プロの要望で開発された、洋菓子をとびきりおいしく作れる卵とは?

皆さん、たまごを選ぶ際、どんなポイントを重視して選んでいますか? 値段、殻の色(赤・白)、黄身色(濃い・薄い)、飼育法……。実に様々な視点がありますが、万人に共通の“最高においしい”はなかなか存在しないために、“確かな正解”をつかんでいる人は少ないかもしれません。つまり、たまご選びは非常に難しく、考えはじめるとゴールのない迷宮をさ迷ってしまう可能性を秘めています。

そんなに深刻に考えてしまうのが私だけだったら、ごめんなさい! しかしたまごを、もっと気軽に、もっと楽しく、おいしいイメージをフワフワと膨らませながら選べたら、幸せですよね? そこで今回ご紹介したいのが、「エグロワイヤル」というたまご。特徴を簡潔に言うならば、「おいしい洋菓子を作るために生まれたこだわりたまご」。当初は業務用が主流でしたが、最近ではスーパーでも気軽に買えるようになってきました。では実際にどんなたまごなのかをご紹介していきましょう。

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フランス菓子「本来の風味」を再現すべく……

エグロワイヤルとは、養鶏事業を運営する中部飼料株式会社が生産するブランドたまごのこと。プロのキュイジニエ(料理人)やパティシエ(菓子職人)からの要望により生まれたそうです。フランスの修業先で作っていた料理や菓子の“風味”を、戻ってきた日本では再現できず、その原因は「たまご」にあると判明。フランスでの“あの風味”を再現すべく開発されたとのこと。では具体的に何が違うのでしょうか。

①臭みがない
たまごの味を左右するのは、鶏が食べる「餌」。魚粉やトウモロコシを混ぜると、臭みが出てしまうことから、これらを抜いた飼料を食べさせているそう。その結果、臭みがなく、すっきりとした後味のたまごとなり、他素材(生クリーム・バター・ブイヨンなど)の風味が際立つようになります。

②濃厚なコクと甘味
魚粉やトウモロコシ由来で作られていた「コク」を補強するために、飼料に小麦や乳清(ホエイ)などを加えることで、従来以上のコクや甘味を作り出しています。

③加熱しても黄身色が美しい
たまごのおいしさを考えるうえで重要なのが、「黄身色の鮮やかさ」。飼料に「マリーゴールド」を加えることで、加熱してもキレイな黄色に仕上がります。黄金色のクリームや焼き菓子を楽しめます。

※詳細(中部飼料株式会社サイトより)
http://chubu-egg.com/item/er.html

この魅力的なたまごを使って、お菓子を自作するのも良いでしょう。しかし最近では、コンビニにエグロワイヤル使用のスイーツがたくさん登場しています。細かく商品を見てみると、洋菓子だけでなく和菓子にまで登場しているので、手軽に試したい方はチェックしてみてくださいね。

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※エグロワイヤルを使用した商品例
【セブンイレブン】
THEセブンシュー、こだわりカスタードのエクレア、北海道産クリームのふんわりロールケーキ、もっちりクレープカスタード&ホイップ、ミニかまくら、プリン&白玉ぜんざい、こだわり卵のふんわり生どら焼
【ミニストップ】
なめらかプリンパフェ

※こちらは2018年11月時点での情報です。商品によって販売を終了している場合もあります。ご了承ください。

文・写真:スギアカツキ/食文化研究家。長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを幅広く学ぶ。現在、世界中の食文化を研究しながら、各メディアで活躍している。『やせるパスタ31皿』(日本実業出版社)、女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)が好評発売中。
「みなさん、一番大好きな食べ物ってなんですか? 考えるだけで楽しくなりますが、私は『たまご』という食材に行きつきます。世界中どこでも食べることができ、その国・エリア独特の料理法で調理され、広く愛されている。そしてなにより、たまごのことを考えるだけで、ワクワクうれしい気分になってしまうんです。そこで、連載名を『たまごのはなし』と題し、たまごにまつわる“おいしい・たのしい・うれしい”エピソードを綴っていきたいなと思います」
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