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沢野ひとし【食べたり、書いたり、恋したり。】第8回 哀愁のいなり寿司と椎名誠

 あれはもうすでに半世紀も前の、遠くて近い過去になってしまった。千葉の稲毛駅で椎名誠と待ち合わせた。その頃、椎名は編集する同人雑誌作りに夢中であった。私は役に立つことはなにもせず、隣で邪魔をするだけの男であった。

 稲毛には高校の時の一年先輩の家があった。我々が通った名門市立千葉高校の通学路にその人の家があり、同人雑誌の資金援助をお願いしに行った。
 高校時代に稲毛駅の隣の駄菓子屋で、大福やいなり寿司を時折買っていた。少し甘口のしっとりとしたいなり寿司を口にすると、途端に幸福になっていた。それを思い出し、私はいなり寿司を六個購入した。

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