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スギアカツキ【たまごのはなし】第5回 素材をおいしくするたまごの魔法。「ピカタ」を作ろう

たまごのおいしさを存分に堪能できるメニューって何だろう? そんな想像を巡らせたくなる時があります。現時点での私の答は、「ピカタ」。これは、イタリアの伝統料理「Frittura piccata(フリットゥーラ・ピッカータ)」が原型ですが、たまご液をつけて焼くのは日本流なんだそう。


作り方は、いたって簡単。たった3工程で作ることができます。
1.切った肉や魚に、塩・こしょうをふって下味をつける。
2.小麦粉をまぶす。
3.粉チーズを混ぜたたまご液をからめて、フライパンで焼く。

このピカタ、作るたびに実感するのが、シンプルな調理法にするほど、よりおいしいということ。そこで今回は、改良を重ねてたどりついた“ミニマムレシピ”をご紹介したいと思います。


まずは食材の準備。私のお気に入りは、豚ヒレ肉、鶏むね肉ですが、肉や魚はもちろんのこと、ホタテやエビ、野菜など、なんでもOK。ヒレやむね肉は焼いてかたくならないよう、肉たたきで繊維をある程度壊し、塩麹によく漬けてください。

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これは、味がしっかりなじむよう、手が汚れないよう、ビニール袋の中で完結できる作業です。さらに、小麦粉をまぶす作業も同じ袋の中で進めてください。

そして次に、たまご液。

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たまご1個につき、粉チーズは大さじ1。この2つをしっかり混ぜ、下準備した肉にからめて焼いていきましょう。熱したフライパンに肉を並べ、中火で片面を1分程度焼きます。

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焼き目がほんのりついたタイミングで引っくり返し、フタをして弱火で3分じっくり加熱、最後に火を止めて1分蒸らせば完成です。

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味付けは、塩麹・たまご・粉チーズのみ。たまごの風味をしっかり感じながら、素材の旨味や食感をしみじみ味わうことができる、究極のシンプルレシピだと思います。気になる方は、ぜひお試しください!


文・写真:スギアカツキ/食文化研究家。長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを幅広く学ぶ。現在、世界中の食文化を研究しながら、各メディアで活躍している。『やせるパスタ31皿』(日本実業出版社)、女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)が好評発売中。
「みなさん、一番大好きな食べ物ってなんですか? 考えるだけで楽しくなりますが、私は『たまご』という食材に行きつきます。世界中どこでも食べることができ、その国・エリア独特の料理法で調理され、広く愛されている。そしてなにより、たまごのことを考えるだけで、ワクワクうれしい気分になってしまうんです。そこで、連載名を『たまごのはなし』と題し、たまごにまつわる“おいしい・たのしい・うれしい”エピソードを綴っていきたいなと思います」
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