note_16_糀調味料と卵の出逢い

スギアカツキ【たまごのはなし】第16回 究極のTKG!? 卵黄の糀漬けかけご飯がシンプルに美味しい!

新年の清らかな気分からなのか、「浅漬け」にはまっています。ザクザク切るだけにとどめて、食材そのものの魅力をできる限り生かしながら、調味液にさっと漬ける。そんなシンプルな調理法が、心地よく感じます。今日はそんな“浅漬け生活”の中でも特に気に入っている「卵黄の糀漬け」をご紹介したいと思います。

数年前、卵黄を醤油に漬ける「生卵の醤油漬け」がブームになったのを覚えていますか? 私はその当時はあまり関心が持てなかったせいか、ふーんと思いながら、完全スルー状態。しかし、浅漬け生活がスタートして以来、「食材を漬ける調味液は、なるべくシンプルにしたほうが感動を呼ぶおいしさに至る」ということに気がつき、「糀調味料」にはまったことが、今回のきっかけとなりました。そうです、まずは「糀調味料」の紹介をさせてください。

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こちらは、フジッコの新ブランド「だしこうじ屋」の商品ですが、「だし×糀」の掛け合わせがユニークで、ワクワク感と一緒においしいを実感できるのが、感動のツボになっています。「醤油糀とフルーツだし」、「いしる糀とトマトだし」だなんて、ウキウキしませんか?

そもそも「糀」とは、米などの穀物に“コウジ菌”を繁殖させたもの。食材と合わせることで“旨味”が増すのが特長で、日本酒、醤油、味噌を作るために欠かせない存在です。そんな名脇役の糀が、調味料として自由に輝いている姿に、心を打たれたのかもしれません。

話を浅漬けに戻しましょう。この「だし糀」を浅漬けの調味液として使い始めたところ、ずば抜けておいしい組み合わせに出合いました。それが、「卵黄×だし糀」です。

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作り方は簡単。小さめの容器にだし糀を入れ、その上に卵黄を乗せます。そしてその上からちょっぴりだし糀をかぶせるだけ。フタをして、冷蔵庫で半日~1日程度漬ければ完成です。

1日経ったものがこちら。琥珀色の重厚な輝きをまとった状態が、熟卵とでも申しましょうか、本当においしそうでしょう?

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この卵黄をスプーンですくいましょう。卵黄に含まれる水分は外に出ているので、やわらかい食感ではなく、ややしっかりとした硬さがあります。これをご飯に乗せて……。

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さらに、だし糀も少し合わせ、よくかき混ぜて召し上がってください。

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卵黄のたんぱく質が糀に含まれる酵素によって分解され、濃厚さの中に旨味がグーンと広がります。残っただし糀は、より味わいに深みが増しているので、炒め物やスープなどに二次利用するのがおすすめです。

たまごと糀の出合いから生まれた、なんともシンプルな美食。ぜひ皆さんもお試しください!

文・写真:スギアカツキ/食文化研究家。長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを幅広く学ぶ。現在、世界中の食文化を研究しながら、各メディアで活躍している。『やせるパスタ31皿』(日本実業出版社)、女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)が好評発売中。
「みなさん、一番大好きな食べ物ってなんですか? 考えるだけで楽しくなりますが、私は『たまご』という食材に行きつきます。世界中どこでも食べることができ、その国・エリア独特の料理法で調理され、広く愛されている。そしてなにより、たまごのことを考えるだけで、ワクワクうれしい気分になってしまうんです。そこで、連載名を『たまごのはなし』と題し、たまごにまつわる“おいしい・たのしい・うれしい”エピソードを綴っていきたいなと思います」
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