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福岡からポルトガルへ!? 旅気分も味わえるカスタード饅頭「ポルトス」の魅力/スギアカツキ

旅に出た時、皆さんはどのような視点で土産菓子を選びますか? “売上ナンバーワン”の看板でしょうか? それとも、ネットや口コミで話題になっているからでしょうか? 
この答えには正解はなく、とにかく買った人・食べた人に、幸福・口福がふんわりと訪れれば大成功なんだと思います。

私が選ぶ視点はというと、「これ、どんな味だろう? 美味しいのかな?」という好奇心によるものが大半。
わっ、カワイイ! 楽しそう! そんなワクワクを思わず感じるお菓子を見つけて、果敢にチャレンジしているのです。

そして以前、福岡での旅路で見つけたのが、「ポルトス」というカスタード饅頭。

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カスタード”というのですから、もちろん卵もしっかり使われています。
このお菓子に引き込まれた理由は、“卵菓子”だからということもありますが、パッケージのかわいらしさ。ポルトガル人と思われる元気な男の子が歌うフレーズとして

ポ、ポ、ポルトス、ポルルルル~

と書かれています。
こんな愉快なパッケージは、「食べだしたらキリンがない。」のじゃがりこ以来、久しぶり。このワードを目にするだけで、クスクスと笑ってしまうようなプチハッピー感が芽生えます。
さてさて早速袋を開けてみることにしましょう。

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個包装のデザインもやっぱりご機嫌です。少年の頭の上には青い鳥がとまっています。そして、中に添付されていた商品説明のようなカードを見ていくと、今度は不思議な物語が……。

やんちゃな博多っこは夢を見ています。
夢のなか、訪れたのは
ノスタルジックなポルトガルの街。
そこへ、おばあさんと
1羽の鳥があらわれました。

わっ、あの男の子は博多っこだったのか! そんな誤解に気が付きつつも、物語に吸い込まれていきます。

鳥「森には千羽の鳥がいて、私たちが唄えば、甘くて幸せな気持ちが広がるんだ」
おばあさん「森で焼いたお菓子はいかが?」

私はすっかり小さな子どもに戻った気分。お菓子の時間のワクワク感。お菓子の香りをかぐだけで、ただただ満たされていたあの頃にタイムスリップしてしまいました。

よろこんでお菓子を手にすると、
あらあら、不思議。
(つづく)

この続きの楽しみは大切にしたいので、物語のほうはこのくらいにとどめておきましょう。
後で調べてみたら、このポルトスを作っているのは、博多銘菓として古くから愛されている「チロリアン」を作る「千鳥屋」千鳥饅頭総本舗

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私が何よりも嬉しかったのは、ブランドに影響を受けるわけでもなく、自分の心の琴線にふれたお菓子を選び、そこに付いてきた楽しいストーリーに心を躍らせることができたということ。
あまたある商品の中で、シンプルに向き合えるお菓子というのは、それほど多いわけではありませんから、そんな感覚は、私にとっての大きな非日常となりました。

さてさて次は、大事な実食です。

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饅頭の上に書かれていたのは、「1630」という謎の数字。1630年って、どんなことが起こったのだったか、歴史に弱い私は恥ずかしながら調べることに。
しかしその答えは日本史にあらず、千鳥屋が創業した年なんだとか。
びっくり、老舗中の老舗です。
数字が書かれているお饅頭も珍しいもので、その数字の刻印から、お菓子に込められた丁寧な気持ちや、歴史の重みを感じることができました。

そして割って中身を見てみると、ハッピーイエローがお目見えです。

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白あんベースで練り上げられたカスタードあんは、クリーミーというより、あんこの存在感がしっかり健在。
うん、これはれっきとしたおいしいお饅頭です。
口に入れた時に広がる、バニラの甘い香りは、私の心をポルトガルに連れて行ってくれるような異国感。さらに、どこか素朴で懐かしい感じは、昔ながらの日本のおやつ感をも備えていました。

お菓子で旅をする。そんなおいしい体験をさせてくれたのですから、やっぱりお菓子も旅もやめられません。

この連載では、「たまごが一番大好きな食材」という食文化研究家のスギアカツキさんが、その経験と好奇心を生かしたさまざまなアプローチで「たまご」を掘り下げていきます。【たまごのはなし】は、ほぼ隔週火曜日に掲載します。

文・写真:スギ アカツキ/食文化研究家。長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを幅広く学ぶ。現在、世界中の食文化を研究しながら、各メディアで活躍している。『やせるパスタ31皿』(日本実業出版社)、女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)が好評発売中。
「みなさん、一番大好きな食べ物ってなんですか? 考えるだけで楽しくなりますが、私は『たまご』という食材に行きつきます。世界中どこでも食べることができ、その国・エリア独特の料理法で調理され、広く愛されている。そしてなにより、たまごのことを考えるだけで、ワクワクうれしい気分になってしまうんです。そこで、連載名を『たまごのはなし』と題し、たまごにまつわる“おいしい・たのしい・うれしい”エピソードを綴っていきたいなと思います」
Instagram:@sugiakatsuki
Twitter:@sugiakatsuki12


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