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スギアカツキ【たまごのはなし】第40回 素材の魅力を信じてシンプルに作る「からすみパスタ」

この連載では、「たまごが一番大好きな食材」という食文化研究家のスギアカツキさんが、その経験と好奇心を生かしたさまざまなアプローチで「たまご」を掘り下げていきます。今回は食欲をそそる“からすみ”のお話。

日々の食生活に“ごほうび的なスパイス”を与えてくれる食材があります。私にとってその1つが、「からすみ」。からすみとは、ボラやサワラ、ブリなどの「卵巣」を塩漬けにし、圧搾して干したもので、名前の由来は、中国伝来の墨「唐墨」に似ていたことで命名されたそうです。

日本では三大珍味の一つとして挙げられますが、海外においてもからすみを作って食べる文化は浸透しています。イタリア(サルディーニャ島)や台湾などが有名かもしれませんが、私は以前、トルコ(イスタンブール)で濃厚からすみに出合って以降、“食人生を濃密にしてくれる存在”として、愛食するようになりました。

私は珍味として食べるよりも、普段の料理に活用して味わうことが多いため、手頃なパウダータイプをストックするようにしています。

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見ているだけで宝石のような、深みのあるオレンジイエローにうっとり……。からすみのようなパワーのある食材に出合うと、なるべくシンプルに、その食材の魅力を最大限に生かせる食べ方が良いなと感じます。

そこで今回は、そんな想いで辿り着いた究極のシンプルパスタ「からすみとバターのスパゲッティ」の作り方をご紹介したいと思います。

主役はからすみなのですが、それを引き立てる相棒こそが、「発酵バター」

発酵バターとは、原料となるクリームを乳酸菌によって発酵させて作られたバターのこと。日本のバターの多くは、「非発酵」で製造されていますが、ヨーロッパでは発酵タイプが主流。ほのかな酸味と芳醇さが際立ち、お菓子作りはもちろんのこと、パスタ料理に使えば、ワンランク上の風味・香りを楽しめます。

そして、発酵バターを代表する有名ブランドとして、「エシレ」を思い浮かべる人も多いかもしれませんが、実はそれだけにあらず。各国自慢のブランドバターが今では日本でも購入できるようになっています。

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写真左:PUR NATUR オーガニック発酵バター(輸入元:カネカ食品株式会社)
写真上:セル・ドゥ・メール(輸入元:有限会社イー・ティー・ジェイ)
写真右:エシレ(輸入元:片岡物産株式会社)

その他の食材は、パスタ(乾麺)オリーブオイルのみ。それでは早速作っていくことにしましょう! 

パスタを茹でている間に、混ぜ合わせるボウルを用意。バター大さじ1とオリーブオイル大さじ1をボウルに入れて、湯せんで溶かしておきましょう。隣のコンロでフライパンを熱して溶かしてもOK。パスタと混ぜるときに、温度が下がらないことが大切です。

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パスタが茹で上がったら、溶かしたバターとオリーブオイルの中にパスタとからすみ(目分量でOK。私は大さじ1~2)を加えて、手早く混ぜ合わせましょう。

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お好みのお皿に盛り付け、再びからすみをふりかけて、“追いからすみ”で仕上げましょう。あっと言う間に完成です。

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水菜、キノコ、しょうゆ、七味唐辛子……。これまで他の食材も加えて試してみたのですが、やっぱり何も加えないのが最高なのです。ぜひ皆さんもお試しくださいね。

素材の魅力を信じ、発酵バターのように新たな名優に出合うことができる。シンプルな嗜好は食生活を無理なく少しずつ豊かにしてくれるように思います。

【たまごのはなし】は、ほぼ隔週火曜日に掲載します。

文・写真:スギアカツキ/食文化研究家。長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを幅広く学ぶ。現在、世界中の食文化を研究しながら、各メディアで活躍している。『やせるパスタ31皿』(日本実業出版社)、女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)が好評発売中。
「みなさん、一番大好きな食べ物ってなんですか? 考えるだけで楽しくなりますが、私は『たまご』という食材に行きつきます。世界中どこでも食べることができ、その国・エリア独特の料理法で調理され、広く愛されている。そしてなにより、たまごのことを考えるだけで、ワクワクうれしい気分になってしまうんです。そこで、連載名を『たまごのはなし』と題し、たまごにまつわる“おいしい・たのしい・うれしい”エピソードを綴っていきたいなと思います」
Instagram:@sugiakatsuki
Twitter:@sugiakatsuki12

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